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5月20日よりSPP検査が導入されました。SPP(skin perfusion pressure)は、皮膚表面から1~2㎜程度の深さにある毛細血管の血流が、どのくらいの圧で流れているのかを示します。血流を評価することは、フットケアにおいてとても重要です。今回はSPPの検査方法、使用場面についてご紹介します。
上図のように足の任意の場所に測定器を置き、細い血圧計を巻いて、測定します。
上記のような結果がでます。50㎜Hg未満ですと、足の血流が低下していると診断します。
どのような患者様がこの検査を行うか?足に傷がある、足先が冷たい、歩いていると足が痛くなる、糖尿病がある、下肢閉塞性動脈硬化症と診断されている、などです。
SPP検査が行えるクリニックはまだ少ないですが、足の血流評価において重要な検査になります。当院ではフットケアに注力しておりますので、診療に必要な機器を揃え、患者様の足を守れるように尽力いたします。お気軽にご相談ください。
脳卒中患者における代替塩の効果を調べたものです。通常の食塩は100%NaCLですが、ここでの代替塩とは75%がNaCLで25%にKCLが含有している食塩のことです。日本でも「やさしお」など発売されています(広
告費はいただいていません)。脳卒中をしたことがある患者において、代替塩にすることで、その後の脳卒中の再発や死亡率が減るかどうかを調べています。中国北部の600の病院で脳卒中と診断された患者15249人を対
象にしました。参加者は、塩化ナトリウム75%、塩化カリウム25%からなる代替塩群と通常の食塩群と2群に分かれました。 およそ5年間の追跡を行いました。その結果、代替塩群では、通常の食塩群と比較して、脳卒
中再発のリスクが14%低下し、死亡のリスクが12%低下し、特に脳出血の発生率が30%減少しました。また、代替塩の使用により収縮期血圧が平均2.05 mmHg低下しました。高カリウム血症のリスク増加は見られませ
んでした。代替塩が脳卒中経験者の再発リスクと死亡リスクを低減する可能性が示された。減塩と同時にカリウム摂取を増やすことで、血圧が低下し、脳卒中の予防効果が得られたと考えられます。同じ量の塩を使用する
のであれば、この代替塩にしてみてはいかがでしょうか?私も最近買って使ってみています。
Salt Substitution and Recurrent Stroke and DeathA Randomized Clinical Trial Xiong Ding, MPH, et al JAMA Cardiol. 2025;10(4):343-350.
時岡内科では、禁煙外来を開始します。たばこの増税がニュースになっていますが、増税する前にたばこをやめてみませんか?たばこを自力(薬なし・受診なし)でやめようとしても、なかなかできません。やめれるのは5%ほどといわれています。決して、たばこがやめれないのはあなたの意志が弱いからではないのです。ニコチンによる依存により、やめることが難しくなっており、依存度で言えば、覚せい剤や大麻より依存性が高いことが報告されています。イメージはつきにくいですが、けっこう厄介そうですよね。このニコチン依存をお薬や行動療法で治療していきます。当院では、日本禁煙学会の禁煙認定指導医が在籍しており、この指導医がいるクリニックは岡山市北区では3か所だけです(2024年12月現在)。安心して、治療に専念できるように尽力いたします。
http://www.kinen-map.jp/hoken/list.php?pref_id=33
・禁煙のメリットは、なによりも健康です。禁煙することで、発症のリスクを減らせる疾患は多くあります。女性であれば、美容にもよいとされています。受動喫煙もなくなり、家族の健康も守れます。最後に、たばこを買わなくてよくなるので、経済的です。
加熱式たばこ、アイコスやブルームテックなど発売されています。有害物質が低減されていると宣伝されていますね。ただ、普通のたばこ同様に、ニコチンもタールも入っています。ニコチンによる依存性、発癌物質であるタールが含有されています。健康被害はどうでしょうか?少ないのでしょうか?確かに癌の発症は通常のたばこより少ないと報告もあります。ただ、動脈硬化性疾患である、心筋梗塞、脳卒中の発症は通常のたばこと同様にあり、非喫煙者よりもリスクが高いことが報告されています。加熱式たばこは、発売から10年しかたっておらず、どれだけ健康被害がでるのかまだわかっていない状況ですが、よい結果ではないでしょう。ちなみに、アメリカではアイコスは通常のたばこと比べて、安全とは言えず、販売は禁止されています。このようなアイコスでも、健康保険で禁煙治療できます。
・対象は喫煙者(紙巻きたばこ、加熱式たばこ)
・治療期間:3か月 受診回数5回
・料金 保険診療で15000円~20000円(3割負担の場合)
禁煙成功した方には当院から記念品進呈(無くなり次第終了します)。
禁煙外来は予約制ですので、時岡内科までご連絡ください。
4月17日木曜日から毎週木曜日にフットケア外来がはじまります!こちらは、足を清潔に保つことによって、健康に歩ける期間を延ばすことを目的に行っています。医師の診察のあと、専任看護師によりフットケアを行います。フットケアの内容は、お悩み事の相談、足・爪の評価、足浴、爪切り、たこ(胼胝)・魚の目(鶏眼)削り、保湿などを行います。診療の一部をご紹介します。
↓音叉を使って振動覚を確認しています。
↓足浴をしています
↓爪切り中です
↓爪やすりで整えています
傷の有無、糖尿病合併症の有無などで、保険診療になるか自由診療になるかかわります。お気軽にご相談ください。
紹介動画については、時岡内科のInstagramみてください。
緑茶とコーヒーの適度な摂取が認知症予防に有益であることを示す研究:JPHC佐久メンタルヘルス研究
認知症予防のために緑茶とコーヒの予防効果はいわれているますが、長期的な効果はまだはっきりしていませんでした。長野県の中年(44歳~66歳)1155人を20年間追跡し、認知機能の低下と緑茶コーヒの摂取量との関係を調べました。
結果:緑茶を毎日2~3杯飲むひとは、認知機能の低下の危険性を44%減少させました。4杯以上では効果は認めませんでした。コーヒーについては、やや高齢の中年(追跡開始時53歳以上)の方で、毎日1杯以上で認知機能の低下の危険性を46%減少させました。
緑茶やコーヒーがよいことは様々なところで報告されています。認知症予防のため、中年になった私たちは、緑茶3杯、コーヒー1杯を毎日飲み始めましょう!ただ、たくさん飲んでも効果は減少するので、ほどほどにしましょう。個人的には、ジャスミン茶とルイボスティーが好きなので、これの効果を検証してもらいたいです。
Akihiro Koreki, Shoko Nozaki et al. Journal of Alzheimer’s Disease 2025, Vol. 103(2) 519–527: A longitudinal cohort study demonstrating the beneficial effect of moderate consumption of green tea and coffee on the prevention of dementia: The JPHC Saku Mental Health Study
緑茶とコーヒーの摂取量と認知症.pdf (0.56MB)