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まず心不全の患者さんと癌の患者さんはどちらが多いでしょうか?
心不全の患者さんは現在120万人おられ、癌の患者さんが100万人ですから、心不全の患者さんが多いかがわかります。また今後心不全患者さんは増加することが推測さ
れており、世に言う心不全パンデミックといわれています。ですので、心不全を予防することが非常に大切になっています。
では心不全ってどのような病気ですか?
まず心臓は、全身に血液を送り出すポンプの役割をしています。1分間におよそ70回、1日に約10万回、収縮と拡張を繰り返しています。心不全とは、心臓に何らかの異
常があり、心臓のポンプ機能が低下して、全身の臓器が必要とする血液を十分に送り出せなくなった状態をいいます。心臓のさまざまな病気(心筋梗塞、弁膜症、心筋
症)や高血圧などにより心臓に負担がかかり、心臓は弱ることにより起こる病気です。
心不全の症状ってどのような症状がでますか?
心不全になると、心臓から十分な血液を送り出せなくなるため、血液のめぐりが悪くなり酸素や栄養が行きわたらなくなったり、からだに水分や老廃物がたまったりし
ます。その症状としては、息切れ、むくみ、体重増加、呼吸困難があります。まず息切れですが、ちょっと動くだけで息が切れる、すぐ疲れるとか、同年代の人と歩い
ても先にしんどくなるといったものです。次に、むくみ(浮腫)です。これは水分が体内にたまり、足やすねがむくんできます。体重増加についても、水分が体内にた
まり、体重が1週間で2 kg 以上増加することがあったりします。最後に呼吸困難です。処置しきれない血液中の水分が肺にたまり、呼吸が苦しくなったり、仰向けに寝
ると息苦しいなどの症状がでます。
心不全の原因について教えてください
心臓に負担がかかる病気が心不全の原因になります。
① 心筋梗塞、狭心症 心臓を動かすための血管、冠動脈は狭くなったり詰まる病気です。心臓の筋肉に血液がいかなくなり、心臓が弱ります。
② 高血圧 血圧が高くなることで、血管の抵抗値が高くなり、心臓から血管に血液を送り出すのに、過剰な力が必要になり、結果心臓が弱ります。
③ 不整脈 心房細動など、脈が乱れることにより、心臓のポンプの効率が悪くなり、心臓に負担がかかります。
④ 弁膜症 心臓の中で、開いたり閉じたりする弁がうまく働かなくなり、例えば弁がうまく閉じなくなると、血液が逆流したりして心臓に負担がかかる。
心不全ってどのような経過をたどるのですか?
高血圧、糖尿病や慢性腎臓病などの心臓の病気がない時期があり、この病気のコントロールが不十分ですと、その後、狭心症や心筋梗塞、弁膜症などの心臓の病気がで
てきます。ただ症状のない時には、元気に過ごせます。しかし、心不全を発症し、息切れや動悸の症状がでてくると、身体機能の低下を認めるようになります。そし
て、心不全の増悪、軽快を繰り返すと、筋力の低下や心肺機能の低下を認め、自立した生活ができなくなり、介護が必要な状態に陥る可能性があります。
逆に言えば、高血圧や糖尿病をしっかり治療を行っていれば、心不全は予防できる可能性が高くなるということです。
2025年循環器学会心不全ガイドライン
心不全の予防はどうしたらいいですか?
まずひとつは、心臓病の予防を行うことです。それは肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧といった心臓病のリスクになる疾患に対して、運動をしたり、体重減量、禁
煙、減塩、節酒などのよい生活習慣を身に着けることが重要です。たとえ、心臓病になったとしても、その心臓病に対して、きちんと治療を行い、よい生活習慣を継続
し、お薬の治療も継続することが心不全の予防になります。
私たちが心不全の見つけるコツはありますか?
心不全は血液検査で疑いがあるのか知ることができます。採血の項目は、BNPあるいはNT-proBNPというものです。心不全が疑わしい場合にはこのBNPという数値が上昇し
ます。高血圧や糖尿病、腎臓病、脂質異常症のある方や、心臓の病気を言われている方で、「少し歩いただけで息切れがする」「重い荷物を持って歩けなくなった」な
ど、普通にできていたことが大変になったとか、「むくみ」がある場合には、是非かかりつけ医の先生に、BNPを測定してください!とお伝えください。
このBNPの数値が高い際には、循環器専門医による心不全の検査を行うことが、推奨されています。私は循環器専門医ですし、動悸・息切れ・足のむくみ外来を開設して
おりますので、是非ご相談ください。
RSKラジオ(AM1494kHz) 天神ワイド朝に副院長が出演しています。
毎月第4木曜日の9時20分から「からだにいいはなし」のコーナーで国司アナウンサーとお話しています。
次回は8月28日(木曜日)9時20分から、「心不全について話したいんじゃ」と題しましてお話します。お時間ありましたら、是非ご拝聴ください。聞き逃した方は、
radikoでも聞けます!
足のむくみについて
足のむくみについて教えてください
下肢のむくみは、医学的には浮腫といいます。足の片方ないしは、両下肢がはれることをいいます。むくんできて靴が履きにくくなった。靴下の痕がはっきりつく、夕方になるとむくむ。などあるかと思います。浮腫は、血液中の体液が血管の外に漏れ出て、血管の外
の皮下組織に溜まった状態のことをいいます。 正常の場合、脚の筋肉や静脈の逆流防止弁の作用により、脚で使われた血液は心臓に戻りますが、運動をしなかったり、脚の筋肉を使わなかったり、デスクワークや立ち仕事などの同じ姿勢を長時間続けると、
脚の血液は心臓に戻ることができずに、脚に溜まっていきます。この脚に溜まった血液中の水分が血管から外にでることにより、むくみが生じます。脚がむくんだ場合、中には病的な要素が隠れているかもしれません。
浮腫の原因とはどのようなものがありますか?
全身性の病気としては、心不全、腎不全、肝硬変、甲状腺機能低下、リンパ浮腫などがあります。代表的なものとして、心不全があります。心臓は、全身に血液を送るポンプの役割を担っているのですが、それが働かなくなってくるのが心不全です。ポンプのは
たらきが弱るので、心臓に戻ってくる血液がたまってきます。それがひどくなると、戻れない血液が足にもたまり、その水の成分が血管外にもれでて、むくんでしまいます。 また低栄養、栄養状態が悪いだけでも、浮腫が起こります。低栄養によりアルブミンという血液
中のたんぱく質が減ります。このアルブミンは血管の中に水分を維持する働きをもっていますが、これが少なくなると、血管外に水分が漏れ出て浮腫が起こります。血管の病気としては、下肢静脈瘤と静脈血栓症があります。下肢静脈瘤は、足の血管がぼこぼこ
する病気です。足の静脈の弁が壊れることにより、足から心臓の方に血液が戻れず逆流することで、血管が拡張し、ぼこぼこして、血液の水の成分がもれでてむくみます。静脈血栓症は、エコノミークラス症状群とかいわれる病気で、震災の時にも問題になるの
ですが、足の動かさないことで、足の静脈の血栓ができて、重篤な場合には肺に血栓が飛んで、命に危険がでる病気です。足の静脈に血栓ができますので、血液がとどこおり、たまることによって水分がもれでてむくみます。
最後に、薬剤性です。お薬の副作用でむくむことがあります。これは、お医者さんの中でも知らない先生がおられるので、是非みなさんでも気づいてほしいのです。いろいろあるのですが、特に多い2種類についてお話します。一つ目は、鎮痛薬、痛み止めで、よく
使用されている、ロキソニン、ロキソプロフェン、ボルタレン、ジクロフェナクといわれるものです。非常に使いやすいお薬で、痛み止めに使用されるのですが5%の患者様に浮腫をきたしますので、注意が必要です。
もう一種類は、血圧を下げるお薬で、アムロジン、アムロジピン、アダラート、ニフェジピンといわれるものです。昔からよく使用されているお薬で、現在もよく使用されています。ただこの薬剤は10%に浮腫の副作用を生じることが報告されています。このような薬剤
を内服中にむくみが出た際には、医師に相談してください。その他、漢方薬でも報告があります。最後に、加齢や運動不足、長時間の座ったままの姿勢により、浮腫をきたす疾患、廃用性浮腫があります。 このような浮腫の原因がないかを、調べていきます。
浮腫の原因により、治療は異なりますので、正しく浮腫の原因を精査する必要があります。
どんな時に医療機関で調べたらいいですか?
もともとあるご病気に関連して浮腫が生じる可能性がありますので、その際にはみていただいている医療機関の先生に相談してみてください。病院受診の目安としては、毎日むくみがでる、とか、朝起きてもむくみが続く、片足だけむくむとか、足だけではなく、手や
顔もむくんでいるような気がするなどの症状も受診した方がいいでしょう。これは病院側の問題ですが、この浮腫という病態は、たくさんの原因があり、調べるには全身性の疾患や血管に問題がないかなどを調べないといけないため、むくみ専門の外来は非常に少
ないです。ちなみに、私はそれも専門にしているので、どしどしご相談ください。まずは、お近くの内科の先生に相談してみてはいかがでしょうか?歳のせいかなと思うのではなく、一度ご相談ください。
むくみがひどい時には、病院に行くとして、普段からむくみを解消する方法ってありますか?
①運動
散歩をして、足の筋肉を使いましょう。ふくはぎの筋肉が血液を心臓に戻すのに重要な役割をしています。元気な人は1日9000歩を目指しましょう。長生きできる歩数です。そんなに元気ないよと言われる方は、足首をグルグル回したり、つま先を上に向け
たり下に向けたりするだけでも、血流が活性化します。
②日中に足のむくみ予防の着圧ソックスを履く
足のむくみは着圧ソックスが有効です。特に、日中に履くようにしましょう。これにより、血液が心臓に戻りやすくなります。ドラッグストアなどで簡単に入手できます。
③椅子に座るときにお尻と足の高さをそろえる
椅子に座っている時は足のむくみを起こしやすいとされています。椅子に座るときは足をお尻と同じくらいの高さまで上げるようにしましょう。
④足を少し高くして眠る
足を上げて寝ることにより血液の流れが良くなり、むくみ解消につながります。高さは枕の高さと同じ程度で、無理のない高さにしてください。重力によって足や下半身に血液が滞りやすくなるため、足を高くすることで血液の戻りを良くします。
⑤塩分を摂りすぎない 水分は適量にとる
醤油やみそ、加工食品などといったものは、特に塩分が多く含まれている場合が多く、塩分の多い食事はむくみの原因となります。バランスの取れた食生活を心がけましょう。塩分を取り過ぎてしまった場合、カリウムを摂取すると水分とともに尿や汗として体外へ
排出してくれるのでオススメです。カリウムは、いも類、豆類、キノコ類、バナナやアボカドなどに多く含まれています。水分については、むくむから控えるというのはやめましょう。目安は1日1.5Lです。イメージとしては、水分を摂取して、循環させるイメージです。
⑥マッサージ
足先からふくらはぎ、ふとももを心臓に向かい血液を上に送るイメージでマッサージします。
⑦スキンケア
浮腫がある部位の皮膚は、ちょっとした刺激でも傷つきやすく治りにくくなるため、こすり洗いは避け、保湿剤を塗布したほうがいいでしょう。
様々な原因でむくみます。ご自身でできることを試してみて、なかなか改善しない場合にはお医者さんに相談してみてください。
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給与:お気軽にお問い合わせください(ここでの記載は控えさせていただきます)。