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足のむくみについて
足のむくみについて教えてください
下肢のむくみは、医学的には浮腫といいます。足の片方ないしは、両下肢がはれることをいいます。むくんできて靴が履きにくくなった。靴下の痕がはっきりつく、夕方になるとむくむ。などあるかと思います。浮腫は、血液中の体液が血管の外に漏れ出て、血管の外
の皮下組織に溜まった状態のことをいいます。 正常の場合、脚の筋肉や静脈の逆流防止弁の作用により、脚で使われた血液は心臓に戻りますが、運動をしなかったり、脚の筋肉を使わなかったり、デスクワークや立ち仕事などの同じ姿勢を長時間続けると、
脚の血液は心臓に戻ることができずに、脚に溜まっていきます。この脚に溜まった血液中の水分が血管から外にでることにより、むくみが生じます。脚がむくんだ場合、中には病的な要素が隠れているかもしれません。
浮腫の原因とはどのようなものがありますか?
全身性の病気としては、心不全、腎不全、肝硬変、甲状腺機能低下、リンパ浮腫などがあります。代表的なものとして、心不全があります。心臓は、全身に血液を送るポンプの役割を担っているのですが、それが働かなくなってくるのが心不全です。ポンプのは
たらきが弱るので、心臓に戻ってくる血液がたまってきます。それがひどくなると、戻れない血液が足にもたまり、その水の成分が血管外にもれでて、むくんでしまいます。 また低栄養、栄養状態が悪いだけでも、浮腫が起こります。低栄養によりアルブミンという血液
中のたんぱく質が減ります。このアルブミンは血管の中に水分を維持する働きをもっていますが、これが少なくなると、血管外に水分が漏れ出て浮腫が起こります。血管の病気としては、下肢静脈瘤と静脈血栓症があります。下肢静脈瘤は、足の血管がぼこぼこ
する病気です。足の静脈の弁が壊れることにより、足から心臓の方に血液が戻れず逆流することで、血管が拡張し、ぼこぼこして、血液の水の成分がもれでてむくみます。静脈血栓症は、エコノミークラス症状群とかいわれる病気で、震災の時にも問題になるの
ですが、足の動かさないことで、足の静脈の血栓ができて、重篤な場合には肺に血栓が飛んで、命に危険がでる病気です。足の静脈に血栓ができますので、血液がとどこおり、たまることによって水分がもれでてむくみます。
最後に、薬剤性です。お薬の副作用でむくむことがあります。これは、お医者さんの中でも知らない先生がおられるので、是非みなさんでも気づいてほしいのです。いろいろあるのですが、特に多い2種類についてお話します。一つ目は、鎮痛薬、痛み止めで、よく
使用されている、ロキソニン、ロキソプロフェン、ボルタレン、ジクロフェナクといわれるものです。非常に使いやすいお薬で、痛み止めに使用されるのですが5%の患者様に浮腫をきたしますので、注意が必要です。
もう一種類は、血圧を下げるお薬で、アムロジン、アムロジピン、アダラート、ニフェジピンといわれるものです。昔からよく使用されているお薬で、現在もよく使用されています。ただこの薬剤は10%に浮腫の副作用を生じることが報告されています。このような薬剤
を内服中にむくみが出た際には、医師に相談してください。その他、漢方薬でも報告があります。最後に、加齢や運動不足、長時間の座ったままの姿勢により、浮腫をきたす疾患、廃用性浮腫があります。 このような浮腫の原因がないかを、調べていきます。
浮腫の原因により、治療は異なりますので、正しく浮腫の原因を精査する必要があります。
どんな時に医療機関で調べたらいいですか?
もともとあるご病気に関連して浮腫が生じる可能性がありますので、その際にはみていただいている医療機関の先生に相談してみてください。病院受診の目安としては、毎日むくみがでる、とか、朝起きてもむくみが続く、片足だけむくむとか、足だけではなく、手や
顔もむくんでいるような気がするなどの症状も受診した方がいいでしょう。これは病院側の問題ですが、この浮腫という病態は、たくさんの原因があり、調べるには全身性の疾患や血管に問題がないかなどを調べないといけないため、むくみ専門の外来は非常に少
ないです。ちなみに、私はそれも専門にしているので、どしどしご相談ください。まずは、お近くの内科の先生に相談してみてはいかがでしょうか?歳のせいかなと思うのではなく、一度ご相談ください。
むくみがひどい時には、病院に行くとして、普段からむくみを解消する方法ってありますか?
①運動
散歩をして、足の筋肉を使いましょう。ふくはぎの筋肉が血液を心臓に戻すのに重要な役割をしています。元気な人は1日9000歩を目指しましょう。長生きできる歩数です。そんなに元気ないよと言われる方は、足首をグルグル回したり、つま先を上に向け
たり下に向けたりするだけでも、血流が活性化します。
②日中に足のむくみ予防の着圧ソックスを履く
足のむくみは着圧ソックスが有効です。特に、日中に履くようにしましょう。これにより、血液が心臓に戻りやすくなります。ドラッグストアなどで簡単に入手できます。
③椅子に座るときにお尻と足の高さをそろえる
椅子に座っている時は足のむくみを起こしやすいとされています。椅子に座るときは足をお尻と同じくらいの高さまで上げるようにしましょう。
④足を少し高くして眠る
足を上げて寝ることにより血液の流れが良くなり、むくみ解消につながります。高さは枕の高さと同じ程度で、無理のない高さにしてください。重力によって足や下半身に血液が滞りやすくなるため、足を高くすることで血液の戻りを良くします。
⑤塩分を摂りすぎない 水分は適量にとる
醤油やみそ、加工食品などといったものは、特に塩分が多く含まれている場合が多く、塩分の多い食事はむくみの原因となります。バランスの取れた食生活を心がけましょう。塩分を取り過ぎてしまった場合、カリウムを摂取すると水分とともに尿や汗として体外へ
排出してくれるのでオススメです。カリウムは、いも類、豆類、キノコ類、バナナやアボカドなどに多く含まれています。水分については、むくむから控えるというのはやめましょう。目安は1日1.5Lです。イメージとしては、水分を摂取して、循環させるイメージです。
⑥マッサージ
足先からふくらはぎ、ふとももを心臓に向かい血液を上に送るイメージでマッサージします。
⑦スキンケア
浮腫がある部位の皮膚は、ちょっとした刺激でも傷つきやすく治りにくくなるため、こすり洗いは避け、保湿剤を塗布したほうがいいでしょう。
様々な原因でむくみます。ご自身でできることを試してみて、なかなか改善しない場合にはお医者さんに相談してみてください。