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2026-05-30 21:44:00

脂質異常症について

 

健康診断で血液検査を行うと、検査結果の数値の中に「中性脂肪」「LDLコレステロール」「HDLコレステロール」という項目があるかと思います。この数値が異常をいわれた方もいるかと思います。

以前は高コレステロール血症とか高脂血症とかいわれていましたが、現在は脂質異常症と呼ぶようになりました。善玉と悪玉のコレステロールがあるとか聞いたぞ、悪玉が多いとよくないとか、太ると中

性脂肪の数値が高くなる気がする。といった話を聞いたかと思います。ここでは、そのあたりを詳しく解説します。

 

 

 

中性脂肪、LDLコレステロール、HDLコレステロールって何ですか?

 

まず、中性脂肪とLDLコレステロール、HDLコレステロールは血液中の脂質、脂肪の成分です。中性脂肪は内臓や筋肉を正常に動かしたり、ビタミンの吸収、体温維持などの役割ももち、生命活

動を行うにあたり非常に重要な物質です。血液中の中性脂肪は、空腹時の正常値が150までと定められており、高いと脂質異常症と診断されます。そして、コレステロールには、善玉と呼ばれる

HDLコレステロール、もう一つが悪玉と呼ばれるLDLコレステロールがあります。コレステロール自体は肝臓でつくられ、細胞膜やホルモンをつくりだす働きがあり、生命維持において重要な役割のある

物質です。LDLコレステロールは、肝臓でつくられたコレステロールを全身に運ぶ役目をもちますが、使わない分のコレステロールは血管や末梢組織に溜めていってしまいます。一方で、HDLコレステ

ロールはLDLが溜め込んで血管壁や末梢組織に溜まったコレステロールを肝臓にまで運んで持ち帰る役目があります。そのため、HDLは余分なコレステロールを取り除いてくれるので善玉、LDLは余

分なコレステロールを血管に溜めてきてしまうので悪玉と呼ばれるようになりました。LDLコレステロールは、空腹時の正常値が140までと定められています。高いと脂質異常症と診断されます。HDL

は逆に40未満だと異常です。

 

 

 

どんな人が脂質異常症になりやすいのか?

 

脂質や糖質の多い食習慣、運動不足、肥満で脂質が蓄積され脂質異常症になりやすいです。喫煙、過度な飲酒、ストレス、睡眠不足、遺伝も脂質異常症の発症に関与することが報告されています。

 

 

 

LDLコレステロールや中性脂肪が高いとなぜいけないのでしょうか?

 

数値に異常があっても基本的に症状がでないのが、この脂質異常症という病気です。ただLDLコレステロールは血管の老化(動脈硬化)を加速させる最も重要な要因の1つとされています。高い

まま放置すると、体中の血管壁に「あぶら」が溜まり、内部が詰まってしまい、心筋梗塞や脳梗塞などの重大な病気を引き起こします。中性脂肪の数値が高いと、皮下や内臓に脂肪が蓄えられてし

まうため、肥満やメタボリックシンドロームのリスクが高まります。また、動脈硬化による脳梗塞・心筋梗塞等のリスク、急性膵炎の発症リスクも高くなる恐れもあります。

 

 

 

LDLコレステロールや中性脂肪が高い場合、どのような治療法がありますか?

 

治療方法としては、主に食事療法、運動療法、薬物治療の3つに分かれ、これらを組み合わせて治療します。

 

【食事療法】

 

LDLコレステロールや中性脂肪が高いと指摘された方は、まずは自身の食生活を見直しましょう。例えば、今週の食事を振り返ってみて、ラーメンやファーストフード、揚げ物が多かったりしませんか?

脂質の多い食品を控えるとともに、野菜や果物を積極的に摂取し、食物繊維や青魚など、コレステロールを下げる食品を摂取し、バランスの良い食生活を心がけましょう。食物繊維の多い食品

(玄米、納豆、野菜、海藻、きのこ、こんにゃく)を増やしましょう。飽和脂肪酸(脂身のついた肉、ひき肉、バター、生クリーム、洋菓子)や、トランス脂肪酸の多い食品(マーガリン、洋菓子、ス

ナック菓子、揚げ菓子)は控えましょう。
【運動療法】

 

次に重要な治療法は運動療法です。ジョギングやウォーキングなどの有酸素運動のほかに筋トレなどの無酸素運動を取り入れましょう。LDLコレステロール、中性脂肪を下げるために必要な有酸素

運動の時間は、毎日30分程度を週に4日程度といわれていますが、まずは持続可能なものから始めてみてはどうでしょう。例えば、「通勤時に電車やバスの一駅分を歩く」ことや「仕事中になるべく

階段を使う」ことなど、現在の生活習慣に無理なく組み込めることからスタートすることが運動療法の第一歩となります。また、無酸素運動を組み合わせることも重要です。無酸素運動とは筋トレな

どのレジスタンス運動を指します。筋トレを行うことは、筋力をつけ脂質の代謝をよくします。

 

【薬物療法】

 

食事療法や運動療法を行い適正体重に達したにもかかわらずLDLコレステロールが十分に下がらない場合は、医師の指示に従って薬物治療を行うことも必要です。例えば、「スタチン」と呼ばれる

種類の薬物はからだの中でコレステロールが作られるのを抑えて血中のLDLコレステロールを下げる効果があります。また、エゼチミブという薬は小腸からのコレステロールの吸収を抑えることでLDLコレ

ステロールや中性脂肪を下げる効果があります。このような薬の併用でも効果が不十分な場合には、PCSK9阻害薬と呼ばれる注射薬が必要になることもあります。いずれの薬物治療においても、

治療を開始した後は、定期的に血液検査を受けて効果を確認し、必要に応じて薬物の調整を行うことが重要です。

 

 

 

中性脂肪やLDLコレステロールはどれくらい下げる必要があるのでしょうか?

 

中性脂肪については、空腹時の採血検査で、150未満にすることが目標となっています。

 

LDLコレステロールの目標値は皆さんの年齢や性別、生活習慣、基礎疾患により異なります。例えば男性、高齢、高血圧、糖尿病、喫煙などのリスク因子を多く持つ人は「高リスク」に分類され、

厳格なコントロールが求められ、LDL 120 mg/dL未満が目標になります。また、一度でも心筋梗塞を患った方は再発リスクが極めて高いことから、目標値もグッと厳しく管理することが求められ

LDL-C 70 mg/dL未満が目標になります。このようにLDLコレステロールの管理目標は人によって異なってきますので、ぜひ自分の目標値はかかりつけの先生に聞いてみましょう。

 

 

 

このように、脂質異常症は、症状がでないことがほとんどですが、放置していると心筋梗塞や脳梗塞のような重大な病気につながりますので、健診で異常を指摘されたら、クリニックや病院を受診するようにしましょう。