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熱中症とは?
体温調節機能が正常に働かなくなり、体内に熱がこもってしまい、体調が悪くなる状態を指します。人間は、外気温があがっても、皮膚の温度を上昇させたり、汗をだして蒸発させたりして、体の中の熱を外に逃がす体温調節機能をもっています。それが気温の上昇や、汗が出しにくい状況、屋外での行動が原因で、体温調節ができなくなり、熱中症を引き起こします。病気の本態としては、高体温の遷延による神経細胞の障害と脱水に伴う循環血液量減少によるもので、細胞が傷害されて多臓器不全に陥ります。
熱中症の症状は?
めまい、立ちくらみ、大量の発汗、強いのどの渇き、筋肉痛、こむら返り、頭痛、嘔吐、だるさ、意識障害、痙攣、高体温等の症状がでます。
熱中症の疫学
熱中症の死亡者数は毎年1000 人を超える状況が続いています。熱中症で搬送されるのは高齢者(満 65 歳以上)が最も多いです。発生場所別の救急搬送人員をみると、住居が最も多い。岡山県でも令和5年では、16名の方が亡くなられている。
熱中症を予防する暑熱順化とは?
暑熱順化とは、暑いところで少しずつ体を暑さになれさせていくことを言います。その効果として、熱中症の発症率低下が期待されます。定まった方法は確立されていませんが、7~14日間ほど、ウォーキング30分、ジョギング15分、サイクリング30分、入浴が推奨されています。運動の強度の目安としては、お隣の人と会話しながらできる運動くらいです。ポイントはこの運動を3日間以上あけないことです。3日間以上あけると、暑熱順化の効果が薄れてしまうおそれがあります。本格的に夏に入る前に熱中症が起こるのは、この暑熱順化ができていない状態のために、起こりやすいといわれています。屋外で運動をされる方は特に注意が必要です。
では、いよいよ暑くなってきました。熱中症を予防するためには何をしたらいいでしょうか?
① 室温は28℃を超えないように。大事なのは、エアコンの設定温度が28℃ではなく、部屋の温度が28℃を超えないことが大事です。もちろん体感で暑いと思えば設定温度を下げてください。また遮光カーテンや、すだれなども使用しましょう。
② 屋外では、日傘や帽子をしましょう。あまりに暑い日は外出を控えましょう。
③ 通気性のよい、吸湿性、速乾性のある衣服を着用しましょう
④ 保冷剤や氷、タオル、扇風機などで体を冷やしましょう
⑤ こまめに水分補給しましょう。通常の生活では1200ml/日が目安です。特に高齢者、お子さんはのどの渇きを感じにくいことが言われています。のどが渇いたなと思う前に摂取するように心がけましょう。
夏に外で運動します。どれくらいに1回休憩して、どれくらい水分とるのがいいですか?
小学校の子供たちは、20分に1回 150~250mlの水分摂取しましょう。また運動を始める前に水分摂取することが重要です。まずみんなで水分をとってから運動をはじめましょう。20分のタイマーをかけて、20分経ったら、休憩タイムを作ることなど工夫しましょう。そして、体調が悪そうな子がいないか観察することが重要です。中高生では 20~30分毎に 250~350ml あくまでも目安ですので、もっと飲んでもかまいません。大人は15~20分で200mlほどです。運動強度により調整ください。飲み物については、水分とともに電解質も喪失しますので、水だけではなく、塩分も入っているような飲み物やタブレットもとるようにしましょう。ポカリとか、経口補水液とか、塩分チャージみたいなものがよいでしょう。
熱中症が疑われる人を見かけたら
めまい、立ちくらみ、大量の発汗、強いのどの渇き、筋肉痛、こむら返り、頭痛、嘔吐、だるさ、意識障害、痙攣、高体温等の症状がある場合には、
① 涼しい場所に避難 エアコンが聞いている室内、風通しのよい日陰に避難させる
② からだを冷やす 衣服をゆるめて、体を冷やします。冷やす場所は、太い血管が通る、首のまわり、脇の下、足の付け根がよいです。
③ 経口補水液を補給する。ない場合はポカリやアクエリアスなど、水分と塩分が摂取できるように。
大事なことは熱中症が疑われる人から周りの人が目を離さないことです。受け答えがちゃんとできない、水分をとることができない場合は、すぐに医療機関に連れていくか、救急車を呼ぶことを躊躇しないでください。
素朴な疑問、 熱中症の高熱に対して、解熱薬は有用か?
熱が出た際によく処方される、カロナール、アセトアミノフェンやロキソプロフェンはひろく、解熱薬として使用されています。ただ熱中症の際に使用した場合には、肝臓や腎臓の障害を引き起こし、凝固障害を悪化させる可能性があるので、推奨されていません。熱中症による熱の場合には、解熱薬は使用しないほうがいいでしょう。