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2025-06-07 20:05:00

熱中症について 知って得する医学知識⑫

熱中症とは?

体温調節機能が正常に働かなくなり、体内に熱がこもってしまい、体調が悪くなる状態を指します。人間は、外気温があがっても、皮膚の温度を上昇させたり、汗をだして蒸発させたりして、体の中の熱を外に逃がす体温調節機能をもっています。それが気温の上昇や、汗が出しにくい状況、屋外での行動が原因で、体温調節ができなくなり、熱中症を引き起こします。病気の本態としては、高体温の遷延による神経細胞の障害と脱水に伴う循環血液量減少によるもので、細胞が傷害されて多臓器不全に陥ります。 

熱中症の症状は?

めまい、立ちくらみ、大量の発汗、強いのどの渇き、筋肉痛、こむら返り、頭痛、嘔吐、だるさ、意識障害、痙攣、高体温等の症状がでます。

熱中症の疫学

熱中症の死亡者数は毎年1000 人を超える状況が続いています。熱中症で搬送されるのは高齢者(満 65 歳以上)が最も多いです。発生場所別の救急搬送人員をみると、住居が最も多い。岡山県でも令和5年では、16名の方が亡くなられている。

 熱中症を予防する暑熱順化とは?

暑熱順化とは、暑いところで少しずつ体を暑さになれさせていくことを言います。その効果として、熱中症の発症率低下が期待されます。定まった方法は確立されていませんが、7~14日間ほど、ウォーキング30分、ジョギング15分、サイクリング30分、入浴が推奨されています。運動の強度の目安としては、お隣の人と会話しながらできる運動くらいです。ポイントはこの運動を3日間以上あけないことです。3日間以上あけると、暑熱順化の効果が薄れてしまうおそれがあります。本格的に夏に入る前に熱中症が起こるのは、この暑熱順化ができていない状態のために、起こりやすいといわれています。屋外で運動をされる方は特に注意が必要です。 

では、いよいよ暑くなってきました。熱中症を予防するためには何をしたらいいでしょうか?

     室温は28℃を超えないように。大事なのは、エアコンの設定温度が28℃ではなく、部屋の温度が28℃を超えないことが大事です。もちろん体感で暑いと思えば設定温度を下げてください。また遮光カーテンや、すだれなども使用しましょう。

      屋外では、日傘や帽子をしましょう。あまりに暑い日は外出を控えましょう。

      通気性のよい、吸湿性、速乾性のある衣服を着用しましょう

      保冷剤や氷、タオル、扇風機などで体を冷やしましょう

      こまめに水分補給しましょう。通常の生活では1200ml/日が目安です。特に高齢者、お子さんはのどの渇きを感じにくいことが言われています。のどが渇いたなと思う前に摂取するように心がけましょう。

 夏に外で運動します。どれくらいに1回休憩して、どれくらい水分とるのがいいですか?

小学校の子供たちは、20分に1回 150250mlの水分摂取しましょう。また運動を始める前に水分摂取することが重要です。まずみんなで水分をとってから運動をはじめましょう。20分のタイマーをかけて、20分経ったら、休憩タイムを作ることなど工夫しましょう。そして、体調が悪そうな子がいないか観察することが重要です。中高生では 2030分毎に 250350ml  あくまでも目安ですので、もっと飲んでもかまいません。大人は1520分で200mlほどです。運動強度により調整ください。飲み物については、水分とともに電解質も喪失しますので、水だけではなく、塩分も入っているような飲み物やタブレットもとるようにしましょう。ポカリとか、経口補水液とか、塩分チャージみたいなものがよいでしょう。 

熱中症が疑われる人を見かけたら

めまい、立ちくらみ、大量の発汗、強いのどの渇き、筋肉痛、こむら返り、頭痛、嘔吐、だるさ、意識障害、痙攣、高体温等の症状がある場合には、

  涼しい場所に避難 エアコンが聞いている室内、風通しのよい日陰に避難させる

 からだを冷やす 衣服をゆるめて、体を冷やします。冷やす場所は、太い血管が通る、首のまわり、脇の下、足の付け根がよいです。

 経口補水液を補給する。ない場合はポカリやアクエリアスなど、水分と塩分が摂取できるように。

 大事なことは熱中症が疑われる人から周りの人が目を離さないことです。受け答えがちゃんとできない、水分をとることができない場合は、すぐに医療機関に連れていくか、救急車を呼ぶことを躊躇しないでください。

素朴な疑問、 熱中症の高熱に対して、解熱薬は有用か?

熱が出た際によく処方される、カロナール、アセトアミノフェンやロキソプロフェンはひろく、解熱薬として使用されています。ただ熱中症の際に使用した場合には、肝臓や腎臓の障害を引き起こし、凝固障害を悪化させる可能性があるので、推奨されていません。熱中症による熱の場合には、解熱薬は使用しないほうがいいでしょう。

 

 

2025-04-11 18:44:00

代替塩って知ってる?その効果。 知って得する医学知識⑪

 脳卒中患者における代替塩の効果を調べたものです。通常の食塩は100NaCLですが、ここでの代替塩とは75%がNaCL25%にKCLが含有している食塩のことです。日本でも「やさしお」など発売されています(

告費はいただいていません)。脳卒中をしたことがある患者において、代替塩にすることで、その後の脳卒中の再発や死亡率が減るかどうかを調べています。中国北部の600の病院で脳卒中と診断された患者15249人を対

象にしました。参加者は、塩化ナトリウム75%、塩化カリウム25%からなる代替塩群と通常の食塩群と2群に分かれました。 およそ5年間の追跡を行いました。その結果、代替塩群では、通常の食塩群と比較して、脳卒

中再発のリスクが14%低下し、死亡のリスクが12%低下し、特に脳出血の発生率が30%減少しました。また、代替塩の使用により収縮期血圧が平均2.05 mmHg低下しました。高カリウム血症のリスク増加は見られませ

んでした。代替塩が脳卒中経験者の再発リスクと死亡リスクを低減する可能性が示された。減塩と同時にカリウム摂取を増やすことで、血圧が低下し、脳卒中の予防効果が得られたと考えられます。同じ量の塩を使用する

のであれば、この代替塩にしてみてはいかがでしょうか?私も最近買って使ってみています。

Salt Substitution and Recurrent Stroke and DeathA Randomized Clinical Trial Xiong Ding, MPH, et al JAMA Cardiol. 2025;10(4):343-350.

 

 

 

2025-03-01 22:43:00

緑茶は1日2~3杯 コーヒー1日1杯がよい 知って得する医学知識⑩

緑茶とコーヒーの適度な摂取が認知症予防に有益であることを示す研究:JPHC佐久メンタルヘルス研究

認知症予防のために緑茶とコーヒの予防効果はいわれているますが、長期的な効果はまだはっきりしていませんでした。長野県の中年(44歳~66歳)1155人を20年間追跡し、認知機能の低下と緑茶コーヒの摂取量との関係を調べました。

結果:緑茶を毎日2~3杯飲むひとは、認知機能の低下の危険性を44%減少させました。4杯以上では効果は認めませんでした。コーヒーについては、やや高齢の中年(追跡開始時53歳以上)の方で、毎日1杯以上で認知機能の低下の危険性を46%減少させました。

 

 

緑茶やコーヒーがよいことは様々なところで報告されています。認知症予防のため、中年になった私たちは、緑茶3杯、コーヒー1杯を毎日飲み始めましょう!ただ、たくさん飲んでも効果は減少するので、ほどほどにしましょう。個人的には、ジャスミン茶とルイボスティーが好きなので、これの効果を検証してもらいたいです。

Akihiro Koreki, Shoko Nozaki et al. Journal of Alzheimer’s Disease 2025, Vol. 103(2) 519–527: A longitudinal cohort study demonstrating the beneficial effect of moderate consumption of green tea and coffee on the prevention of dementia: The JPHC Saku Mental Health Study

pdf 緑茶とコーヒーの摂取量と認知症.pdf (0.56MB)

2024-12-08 01:00:00

運動するなら一日のうち、いつがいい?知って得する医学知識⑨

米国からの報告です。着用する加速度計を用いて、身体活動と睡眠の日内パターン別の死亡率を調べてみました。米国の9342人を解析しています。身体活動のパターンを早朝型、正午型、午後遅く型の3つに分けて、睡眠パターンを朝型、夜型、不規則型に分けました。

図は身体活動をみています。早朝型は8時~9時に身体活動が多い、その後減ってくる。正午型は11時から17時まで身体活動が多い。午後遅く型17時から19時に身体活動が多い。という結果です。

結果です。早朝に身体活動の多い人あるいは、睡眠が不規則な人は死亡率が高いことがわかりました。また早朝に身体活動が多いかつ、不規則な睡眠の人はより死亡率が高いことがわかりました。不規則な睡眠は体に悪そうなのはイメージつきますよね。早朝の運動は、血圧が上がりやすく注意が必要かもしれません。ご参考までに。

Diurnal patterns of accelerometer-measured physical activity and sleep and risk of all-cause mortality: a follow-up of the National Health and Nutrition Examination Surveys (NHANES).

Zhang et al. International Journal of Behavioral Nutrition and Physical Activity (2024) 21:120

pdf 身体活動と睡眠のパターン.pdf (2.8MB)

 

 

 

2024-10-08 22:56:00

日本クリニカルパス学会学術集会で座長&発表をしてきました

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松山で開催されました日本クリニカルパス学会学術集会で副院長が座長&発表を行ってきました。座長は、パス推進活動のセッションで、最初は重い雰囲気になり冷や汗かきましたが、徐々に議論は活発になりひと安心でした。2日目の発表は、岡山市民病院での活動で、「せん妄時指示における院内標準化への取り組み」についてお話ししました。ご賛同をいただくこともあり、引き続き活動を行ってまいります。私自身クリニックとクリニカルパスは関係は薄いと感じていましたが、できることは多くあるのではないかと感じた、実りある学会となりました。

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