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足梗塞!?下肢閉塞性動脈疾患って何? 知って得する医学知識⑯
足の血管が詰まる下肢閉塞性動脈疾患についてです。どんな病気ですか?
脳の血管が詰まることを脳梗塞といいます。心臓の血管がつまることを心筋梗塞といいます。足に、向かう血管が詰まることを足梗塞といいたいところですが、病気の名称は、下肢閉塞性動脈疾患
といいます。足の血管が動脈硬化により血管(動脈)が狭くなったり、詰まったりする病気です。足への血流が悪くなることで、足に栄養や酸素を十分に送ることができなくなるため、歩いていたら足が
痛くなったり、非常に悪くなると足を切断しないといけなくなることがある病気です。
下肢閉塞性動脈疾患の原因はなんですか?どんな人に起こりやすいのですか?
原因は下肢動脈の動脈硬化です。動脈硬化とは、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病や喫煙習慣によって引き起こされる血管の変化です。血管にコレステロールなどがこびりつくこ
とで、血管が狭くなります。このため、たばこを吸う人、糖尿病・脂質異常症・高血圧症をお持ちの方ほど、起こりやすい病気と言えます。タバコを吸い続けているうちにだんだんと血管の動脈硬化が
進んでゆき,何年もたってから発症することになります.しかも,一度進んだ動脈硬化は元には戻りませんし、動脈硬化は全身同時に進行するため、心筋梗塞・脳梗塞などを合併しやすい病気に
なります。つまりは、この病気を見つけたときには、脳梗塞や心筋梗塞になっていないかもよく調べないといけない病気です。
下肢閉塞性動脈疾患はどんな症状がでるんですか?
下肢閉塞性動脈疾患の症状は,下肢への血流が滞ることによっておこります。症状は大きく4段階あります。
1段階目は、足の冷たい感じがする冷感やしびれです。
2段階目は、歩くと脚(特にふくらはぎ)が痛くなって歩けなくなるが,しばらく休憩するとまた歩けるようになる間歇性跛行という症状です。歩いている時など血流が欲しい時に血流が流れにくいの
で、十分に血液が行きわたらず痛みがでます。
3段階目は、じっとしていても足が痛み、夜も眠れなくなったりするなどする、安静時疼痛です。
4段階目は、傷をなおすだけの血流が送れなくなり、足に傷ができてしまうと、それが治らなくなってしまい潰瘍を作ったり、さらに進むと足が黒く壊死することがあります。
下肢閉塞性動脈疾患はどのように診断しますか?
簡便に調べることができる検査があります。ABI検査です。両足首と両腕に血圧計を全部で4つつけて、同時に血圧を測り,腕の血圧に比べて足の血圧がどの程度かを調べる検査です。検査は5
分くらいでおわります。血圧はかるだけなので怖くない検査です。正常は1.0以上です。1.0未満の場合は下肢閉塞性動脈疾患が疑われるので、更なる検査に進みます。足先の血流を調べる検
査としては、SPP検査があります。指の冷えなどがあったときに、足先まで血流が十分きているか調べることができる検査です。ABI検査は診療所で置いていることも多いですが、SPPを測定
できる医療機関は限られています。当院では測定可能です。そして更なる検査としては、画像診断検査になります。血管がどれだけ狭くなっているのか、どこが狭くなったり詰まっているのかわかりま
す。主な検査としては、CT検査、超音波検査、MRI検査があります。病状によりこの検査は使い分けます。これらを駆使して、診断をおこないます。
治療は何がありますか?
① 運動療法
歩くことです。1回30分程度、最低でも週に3回程度は運動を行うことが好ましいです。これにより、症状の改善が期待できます。
② 生活習慣の是正
この病気は、たばこと密接に関係しているので、禁煙することが病気の進行抑制に非常に大事です。当院では禁煙外来を行っていますので、どしどしたばこをやめに来てください。また高血圧、糖尿
病、脂質異常症については、しっかり治療することで進行抑制になります。また血をさらさらにする薬(抗血小板剤)を内服することで、症状の改善や進行抑制になります。
③ カテーテル治療
細い管であるカテーテルを詰まっている足の血管まで到達させて、血管をバルーン(風船)でふくらましたり、ステントという金属の網目状の筒をいれて、血管をひろげる治療です。3から4日ほどの入院
が必要になります。
④ バイパス手術
血管が狭くなっているところや詰まっているところの先に、自分の血管(足の静脈)や人工血管をつなぎ合わせる手術です。非常に長く血管が詰まってしまっている場合や、病気が重篤な場合にはこ
の治療が選択されます。
最後に皆さんお伝えしたいこと
普段から足のことを気にしてあげてください。足の冷えやしびれ、歩いていて足やふくらはぎなどに痛みを感じたら、お医者にいってABI検査してください!と言ってみましょう。そして足や爪に異変を
感じたら、みてもらうようにしましょう。当院では保険診療でもフットケアを行っています。最近足の爪切りする姿勢しんどくなってきた。自分ではきれいにできない。1回私の巻き爪みてーなど、なんでも
ご相談ください。